自己実現で描く

第9話《③学習編》頭にたたき込むための描く読書術

2011年3月18日 19:04 | コメント(0) | トラックバック(0)
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恵賀くんが最近お気に入りなことは、懇願しているくせにその姿を隠そうとする相手を眺めること。
だから、「おい、本の内容を絵にするって、どういうことなんだよ」と焦る高取くんを見ていると、なんだか嬉しくなってくるのです。

恵賀くんは、満足げに口を開きました。得意の説明口調で語ります。
「自らのレベルアップに役立てる"本の読み方"はたくさんあるけど、ボクが勧める方法は、インプットした内容を自らがオリジナルな表現によってアウトプットしていくこと。つまり描くという行為を通じて、それを成し遂げることなんだ」

眉をしかめる高取くんに対して、「例えばね」と恵賀くんは続けました。
「翻訳家が自分の中にいると思えばいい。書物から得られた情報を、自分にとってわかりやすくまとめ直す役目。それを絵を描くことで適えてしまうんだ。ただ全ての情報を訳すわけにはいかない。自分として必要だけど腹落ちしていない事柄だけに着目すればいい」

恵賀くんは「じゃぁ、得られた情報を描くポイントをまとめるね。今回のことを例にすると......」といいながら、
「まず訳したいテーマに対して、もっとも大きな存在をシンプルに描く。今回は地球だよね。そこに関係性のある対象をバランスよく配置していく。特に重要な対象は、線種を変える。たとえば太線や破線などにして調子を変え、注意を集めるんだ。今回は温室効果ガスや太陽から送られるエネルギーに注目するように。......ほらね。絵にしながら理屈がまとまってきて、描くというプロセスによって理解が深まっていくだろ。できあがったら、その絵を見直すことによって記憶への定着がググンと進むんだ」
と言い終えると、高取くんを指さしました。

「だからアンタのように、ただ漠然と本の文字を追っているだけでは、何にも頭には残らない。ハッキリ言ってアンタの読書は、時間の無駄なのさ」
「えぇ〜、きつぅ〜」とたじろぐ高取くんを尻目に、恵賀くんは口をすぼめてお得意のビリー・ジョエル『ストレンジャー』を奏でるのでした。

第9話おわり

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